終幕

全てが終わった。
今思えば1年間がぽっかり空いた感じ、実感が無い。
「芝居はなにものこらないからね」と主催の方も言ってたけど、まさに0そのもの。
空っぽになっていく舞台を見て、あっけにとられている自分も居た。


千秋楽が最高だった、と言いたいけど、実は同じ日にやった3回目(公演は全部で4回/2日)が一番うまくいった。
楽日の朝、前日のことを踏まえて、何を意識したらいいか考えた。
で、たどりついたのが僕が演じる役が好きになる相手を僕自身が好きになろう、ってことだった。
それのおかげかわからないけど、その日の朝の公演、3回目のラストはホントに全部繋がって、一気だった。
「あ、こうなんだ」と、初めて納得してすごくスッキリして、不思議な気持ちだった。
その時、初めて終われた感じがした。
思いのほかうまくいったのでビックリして、意識してたことが全部パアーッと飛んでしまった。
それで楽はわけわからなくなっちゃって、うまくいかなかった。
ちょっぴり心残りだけど、3回目のあの気持ちは忘れられない。


楽が終わって楽屋へ戻ったときは、疲れがどっと出て「もうやりたくない」と思った。
でもやっててよかったな。
色んな人と出会えたし、表現(演劇だけじゃなく絵)にたいしての悩みが幾度となく解決した。
「ああ、表現ってすばらしい」と思えたのもこのWSのおかげだ。


開演の音楽、ユニコーンの「すばらしい日々」の歌詞の一部が妙に頭に残る。

すべてを捨てて僕は生きてる


なにはともあれ、僕の演劇人生第一部は無事に幕を下したのであった。



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