未知との未遭遇

6人。
内2人は途中下車、その片方は僕。
被害者(と呼ぶべきものかどうか・・・)2名を含めた残りの4人は切符を買い、現場へと向かう。
駅に着き、遠巻きにその例の場所を見て被害者の1人がこう言う。
「ほら、あそこ歪んでる」

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「マジでやばいんだって」
と、その怪事件が起きた某駅に自転車を置いてきてしまった被害者・A。
僕はどうも信じられない。
もともと、(オカルト大好きではあるが)そういう事に対し疑念的なタイプだ。
「Aを追いかけてたんだよ、自転車乗って、首が妙な具合に曲がった男が」
と、被害者・B子。Aは感じるだけのようだが、B子にはソレが見えるという。
「どうせ、じば とか でんじは の関係じゃーないの?」と疑いをかける僕。
科学で説明のつくことだろ、と無知なりにあきれてみる。


嘘じゃないと言われても、こちらとしては当事者ではないので納得がいかない。
「じゃあ行ってみるか」
半分本気で脅かすと、そばにいたC、Dが「おう、行こうぜ、行こうぜ」と囃したてる。
3人でも構わず行くつもりだった。
すると、怖がっていたAも「自転車とりにいかなくちゃいけないし、これだけいれば大丈夫だろう」と承知。
B子も渋々承知し、移動を始める。  ・・・そうそう、Cの彼女(以下E子)も仕方なく同行する形となった。


興奮してきた僕は電車の中でミルクティーを飲み、ビアプリッツをポリポリと食べていた。
マナーとしては最悪だ。
気分は最高だった。

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僕の眼では、そこは別段、歪んでなどいない。
DやCにどう見えているか聞くが、やはり歪んでいない。
・・・とにかく問題の現場だ。
A、C、僕の3人で駐輪場へ向かい、他3人は、連絡通路で待機。
なんなく自転車を回収・・・一時はそう思ったが、どうもAの様子がおかしい。
どうやら”いる”らしい、が、C・僕はなーんも感じない。
危険そーなので、自転車をひーて一旦戻る。
・・・納得いかない。


2度目、Aの身を案じながら、再び同じ3人で同じ場所へ行く。
そして再び、Aが何かを感じ始める。
A「音、きこえるだろ・・・」
僕・C「いや、全然」
A「きこえるって!」
僕・C「いや、なにも・・・」
どんな音が聞こえるのか、と訊くと、高い音だ、という。
そんなもん、ぜんぜんきこえなーい。
「うわあああああああああああああ」
突然叫ぶA。ビビるCと僕。逃げるように走るA。反射的に走り出すC・僕。


どうやら、音は近寄ってきてたようで。
(B子曰く、「追いかけてきていた」らしい)
B子「なんであの音がきこえないのか不思議」
逆に何が聞こえてるんだその耳には・・・。
Dまでもが「見えた」「聞こえた」と言いだす始末。
B子に詳しく、どんな音か、ソイツはどんな服着てるのかと訊けば、「電話みたいな音」「だぼだぼのズボン」。
まったくピンとこない。


3度目、これが最後だった、これ以上はヤバいらしい。
今度は僕とB子が待機藩、他4人が行く。
・・・まーたB子が何か見えているらしい。
僕は眼を凝らしに凝らすがなーんも見えない。
行った奴も行った奴でビビったのかさっさと戻ってくる。
B子は連絡通路を歩いて引き返してくる奴ら、特にCが危ないといって、Aに塩で清めさせる。
・・・。




結論を言おう。


「・・・?」

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それでも僕は信じない。